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№40【脳内現象と仏教】

脳内現象と仏教――なんの関係があるのかと思われるかもしれませんが、そうでもありません。 それどころか、このブログのコラムがあつかってきた、 「空」の思想、 すなわち、 「ものは固定的で不変の実体を欠く」(ゼロである) という思想の由来について考え…

№39【ライザップと仏教】

ライザップは仏教的にどう考えるべきなのでしょうか? なんだかバカみたいに聞こえるかもしれませんが、けっこうホンキモードな論点をふくんでいます。 「色即是空」 という言葉があります。 葬式でよく読まれる『般若心経』がメインフレーズにしている四文…

№38【ポスト・トゥルースと仏教】

禅には、 「不立文字」 といって、究極の真理は言葉では表現できないという教えがあります。 また、 「月を見たら指を切れ」 という言葉もあり、これは『首楞厳経(しゅりょごんぎょう)』という経典にでてくる言葉ですが、ここにいう月は真理、指とは言葉を…

№37【日本3・0と仏教】

「日本3・0」とは、日本のごく近い将来に予想される革命のことです。 二〇一七年の一月にソーシャル経済ニュース「ニューズピックス」の編集長佐々木紀彦さんが『日本3・0/2020年の人生戦略』という著書でそのコンセプトをまとめられました。 土台…

№36【分子輪廻と仏教】

人間は死なない。いや、正確にいえば死んでも生まれ変わりつづける。 一部の分子生物学者によると、これは科学的に動かしがたい事実だそうです。 日本は火葬の国(日本の二〇一七年度の火葬率は九九・八%!)なので、それを例にとりましょう。 人間が死んで火…

№35【オランウータンの人権と仏教】

「空」というのは世界の底を抜く概念です。 世界は「もの」が多元的に組み合わさって構築した産物です。 「空」はその「もの」と「もの」との区分を一挙に「ゼロ化」してしまう。 最新作の長編『騎士団長殺し』(二〇一七年二月)が話題の村上春樹さんのデビ…

№33【「ゼロの時代」と仏教】

〈ゼロ葬〉という言葉があります。 宗教学者の島田裕巳さんが『0葬/あっさり死ぬ』(二〇一四)という著書のなかで提出した新しい死者の葬り方で、簡単にいえば、 「遺骨の処理を火葬場にまかせ、引き取らない」 というやり方です。 いわば葬儀における、 …

№32【時間SFと仏教】

映画『ブルーハーツが聴こえる』が四月から全国ロードショー公開されます。 斉藤工さんがタイムスリップして高校時代に戻るのが話題のオムニバス映画です。 それにしても、映画であれTVドラマであれ、時間SFというのはなぜあんなに面白いのでしょうか? …

No.31【「プロジェクト・ゼロ」と仏教】

仏教哲学の「空」という概念は、 「シューニヤ」 という「ゼロ」を意味するインド語を中国人が漢字に直したものであること、また「空」は伝統的に、 「空っぽ」(emptiness) あるいは、 「真空」(void) という言葉でも表現されてきたことは、このブログで…

No.30【ポピュリズムと仏教】

日本の中世にもグローバル化があったということをごぞんじですか? これは歴史家の與那覇潤さんの『中国化する日本』(二〇一一)がとりあげたことで、〈歴史ファン〉以外にも知られるようになりましたが、中世といっても、 〈平安末期~鎌倉初期〉 西暦でい…

No.28【ポリティカル・コレクトネスと仏教】

今回はPCの話です。 といっても、パソコンではなく、ポリティカル・コレクトネ(political correctness)の方。 特定のグループ、とくにマイノリティの人々の感情を傷つけないように言葉やふるまいに配慮することで、たとえば、パプリックな場面で、 「メ…

No.27【『騎士団長殺し』を読んで】

主人公が失踪者の捜索をめぐって異世界にコミットするという村上さんの長編の「王道パターン」を踏んだ作品ですが、その異世界が「有」-「無」の境界を超えた、「関連性」を構造原理とする「メタファー」の世界であるという所が村上さんならではだ、と思い…

No.26【清水富美加さんと仏教】

なんだか笑えるタイトルですねェ。 と書きながら、わたしも笑っていますが。 今回のコラムでとりあげるのは清水さんご自身の話というより、彼女が使った、 〈出家〉という言葉についてのトピックです。 〈出家〉とは、「世俗との関わりを断ち、僧侶になって…

No.24【ミニマリストと仏教】(1)

最近知ったのですが、 〈ミニマリスト〉 という言葉、これはゼロ年代(二〇〇〇年代)の半ばには早くも登場していたそうです。 「最小限の物だけで暮らすライフスタイル」を選択した、いわば、〈断捨離〉(不要な物を断ち、捨て、執着から離れる)の哲学の「…

No.23【現代アートと仏教】(2)

【(1)からの続き】 で、客の方はどう反応したか? まずあっけにとられてから、ブーイングまじりのざわめきが起こる、という当然の結果になったようです。 このジョン・ケージはのちにバブル経済真っ盛りの日本で稲盛財団主催の「京都賞」(一九八九年度)…

No.22『現代アートと仏教』(1)

現代アートが、〈わからないもの〉の代名詞になったのはいまや昔話です。 というのも、現代アートが、「わからない」を通り越して、〈なんでもアリ〉の代名詞になってすでに久しいからですが、そうなった理由はほかでもありません。 それは、現代アートが、…

No.21【世界帝国の運命と仏教】(2)

ローマ帝国は最盛時、二十世紀後半の米国のように覇権をほしいままにした国です。 ローマ帝国はその後、異民族(ローマからみた〝不法移民〟)の侵入のなかで紀元三九五年に東西に分裂し、四七六年には西ローマ帝国が滅びます。 そして、ほぼこの時期を境に…

 No.20【世界帝国の運命と仏教】(1)

いまは仏教ブームということで、街の本屋さんの仏教書のコーナーには、一般読者向けの入門書が山積みになっています。 とくに若い読者が増えているのは喜ばしいニュースです。 ただ、そんな仏教に関心をもつ人々の間でも、けっこう知られていない話があるよ…

No.19【マインドフルネスのブームと仏教(5)】

三つめは、それに関連して「仏教隠し」の姑息さの問題です。 が、これについては、結論からいえば、仕方がないと思います。 いまさらの話ですが、宗教は近代以降もはや絶対的な存在ではありません。 相対化されて「文化」の一部(「宗教文化」)になってしま…

No.18【マインドフルネスのブームと仏教】(4)

一方、禅が問うのはまさにそのことです。 今は東洋の瞑想が海外の経営者にも流行しているということで、 少し前、これは『中央公論』(二〇一五年十一月号)というカタイ雑誌が「禅で克つ」という特集を組みました。 例によってスティーブ・ジョブズの話も紹…

No.17【マインドフルネスのブームと仏教】(3)

まえに書いたように、マインドフルネスはIT企業の研修にも取り入れられる時代になった。認知度の上昇とともにマーケットを確保しはじめました。 つまり、瞑想のレッスンが最先端のビジネスのモデルの一つになってきたわけですが、 そこで何が起きたか? マ…

No.16【マインドフルネスのブームと仏教(2)】

一つには、日本が伝統的に「大乗仏教」の国だということがあります。 現在、日本にはコンビニの数より多くの寺院がありますが、この大半が「大乗仏教」のお寺です。 禅宗、浄土仏教系の宗派、日蓮宗、みな大乗仏教です。密教はちょっとちがいますが、大乗仏…

No.15【マインドフルネスのブームと仏教(1)】

マインドフルネスは米国で生まれた瞑想メソッドです。 起源は一九六〇年代のニューエイジ運動でした。 「自然との共生」などをスローガンに、欧米を中心に大流行した運動でしたが、ざっくりいえば、東洋や西洋のスピリチュアリズムにもとづいた、「近代西洋…

No.14【戦国女子と仏教】

戦国女子という言葉もすっかりおなじみになりました。 なかでもニュースによく登場する、戦国武将とりわけキャラクター化された武将にオタク的にはまる女性たち。 キャラクターのヒーローとしては、スタイリッシュなアクションゲームで、アニメ化・漫画化さ…

No.13【IoTの時代と仏教(3)】

このアポリアは宇宙の「終わり」を問う場合にもあてはまり、「宇宙の終わり」を問うことは終わりの後の終わりへのさらなる問いかけを誘発し、論理的無限後退のアポリアに直面することになる。 そしてこうした「時間」の果ての確定をめぐる議論は、「空間」に…

No.12【IoTの時代と仏教(2)】

「IoT時代到来」のインパクトは社会、経済、政治などさまざまな面から検討すべき問題です。 ただ、仏教とのからみでその哲学的な意味を考えてみると非常に面白い。 それは、「IoT社会」そのものが「世界=関係のネットワーク」論という大乗仏教の世界…

No.11【IoTの時代と仏教(1)】

2015年から2016年にかけては、やたらに「IoT」時代の到来が騒がれました。 2016年の2月には前回のコラム「『マウスイヤーと仏教』」でふれたように坂村健先生が、『IoTとは何か』という本をお書きになった。 何しろ坂村先生は2007年…

No.10【マウスイヤーと仏教】

「マウスイヤー」という言葉があります。 少し前までは、犬は人の7倍の速さで成長することからドッグイヤー。いまは人の18倍の速さで成長するマウスの名を借りてマウスイヤー。 IoTのコンセプトの提唱者である坂村健教授は21世紀に入ってからの情報…

No.9【初音ミクと仏教】

日本のメディアによると2016年は、 〈VR元年〉 と呼ばれる年になりました。 十月にはソニーから〈プレイステーションVR〉が発売。 いまさらいうまでもなく、プレイステーション4を進化させたゴーグル型の端末で、VRヘッドセットを装着すると、プ…

No.8【ソロ充と仏教】

仏教というのはもともと〈ソロ充〉の教えでした。 もともとというのは、仏教の創始者ブッダにとっては、の意味です。 仏教は今から二千五百年も前にインドでブッダが修行の末に作りあげた教えです。 ブッダの修行の目的は最初から、〈たった一人でいかにスト…

No.7【仮想通貨と仏教】

「時事ネタと仏教」のコラムでは、何回(というか毎回)「空」の思想についてとりあげました。 ここで、結局「空」とは何かについて、あらためておさらいをしておきましょう。 その際、役に立つのが、最近なにかと話題の〈仮想通貨〉です。 仏教が説く〈空〉…

No.6【LGBTと仏教】

〈宗教と性的マイノリティ〉というのはデリケートなテーマです。 仏教また例外ではありません。 性的マイノリティといえば、 〈LGBT〉 という言葉、これもいまではすっかり定着して普通に使われるようになりました。 たとえば、今年(二〇一六年)の四月…

No.5【宇宙人と仏教】

トランプ次期大統領誕生の余波がおさまりません。 十二月八日の夜テレビ東京でオンエアされた「ミステリー&スゴ技/見た事もない24時間SP」は、トランプ当選の「背景」について出色の分析報道をおこなっていました。 ご覧になった方も多いでしょうが、そ…

No.4【AIの時代と仏教】

〈シンギュラリティ〉というAI(人工知能)に関心のある人にはいまやすっかりおなじみの言葉があります。 日本語になおせば、〈技術的特異点〉。 ハンガリー出身の科学者でコンピューター理論の生みの親であるジョン・フォン・ノイマンが提唱し、米国の著…

No.3【日本のヒューマノイド文化と仏教】

日本のロボットエンジニアには、世界的に知られたある特色があります。 〈ヒューマノイド型ロボット〉が大好きだということです。 つまり、生き物である人間に中味はもちろん姿形までかぎりなくコピーすることに情熱を燃やし、コダワリをみせる人が多いとい…

No.2【ポケモンGОと仏教】

ARと仏教は意外と相性がよい。 ARとは、いうまでもなく、Augmented Realityの略称。 日本では、「拡張現実」と訳されましたが、今年の夏、この技術を応用して世界的に大ブームを引きおこしたのが、〈ポケモンGО〉でした。 (1)カメラが映し出す「現実」…

No.1【映画『君の名は。』はとても仏教的】

新海誠監督の『君の名は。』の快進撃がとまりません。 本日、12月1日段階では、興業収入二百億円超えのヒットも確実だそうです。 仏教をかじった人間の目からみて面白いのは、この『君の名は。』という作品が、 〈夢のなかの入れかわり〉 を作品のモチー…