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No.1【映画『君の名は。』はとても仏教的】

時事ネタと仏教

新海誠監督の『君の名は。』の快進撃がとまりません。

本日、12月1日段階では、興業収入二百億円超えのヒットも確実だそうです。

仏教をかじった人間の目からみて面白いのは、この『君の名は。』という作品が、

〈夢のなかの入れかわり〉

を作品のモチーフにしていることです。

じつはこれって、大変、仏教的なのですねェ。 

 仏教――といっても、ここでは日本が輸入した大乗仏教(約二千年前に誕生した革新派の仏教のことですが)は、一つの大きな特色をもっています。

それは、〈現実と夢の区別〉を一切認めないという特色です。

  なぜ認めないかというと――むずかしいリクツははずして、要点だけのべますが――仏教の立場では、現実とはすべて〈仮想現実〉、つまりバーチャル・リアリティにほかならないからなのですね。 

なぜそう言えちゃうかといえば、これには、

〈空(くう)〉

とよばれる考えが関係してきます。

〈空〉は大乗仏教の目玉思想ですが、これによると、

〈世界のあらゆるものは「空」である〉

とされる。 

「空」は、もともと、インド数学の「ゼロ」からきている言葉で、要するに、

〈実体のあるものなんてどこにあるの? どこにもないよ〉

 ということです。

 一方、現実とは「実体としてあるもの」の意味。ですが、仏教徒の目からみればそれもすべて「空」、ゼロにすぎない。

つまり、実体のない幻影、そう、「夢」と同じものだ、と仏教の立場からはこうなるわけです。

仏教」と聞くと、なんだか古臭いなというイメージをもつ人は多いと思います。

ただ、「現実と夢」の間に境を作らないという考え方は、無意識のうちに、日本の若い世代にも流れこんでいます。いつのまにか、まるで空気のようにそういう考え方を呼吸しているわけですね。