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No.9【初音ミクと仏教】

時事ネタと仏教

 日本のメディアによると2016年は、

〈VR元年〉

 と呼ばれる年になりました。 

十月にはソニーから〈プレイステーションVR〉が発売。

 いまさらいうまでもなく、プレイステーション4を進化させたゴーグル型の端末で、VRヘッドセットを装着すると、プレイヤーを360度囲む3D空間が出現。

〈サメに襲われて心臓がとまりかけた〉

 が一部の煽りの商品ですが、「VRヘッドマウントディスプレイをつけたままの一貫した操作がやりづらい」などの声はあるものの人気を呼んでいます。

 また、これに先立ち、四月には米グーグルが仮想3D空間に立体的な絵を描けるVRペインティングソフト〈Tilt Brush〉を発売し、こちらは〈プレイステーションVR〉が出た月に東京青山でこのソフトを用いたライブ制作をアーティストがおこなった。

 こちらもアートファンの注目を浴びました。

 こうしてみると2016年がVR元年というのもアリかなという気がしてきますが、よく考えてみれば、これらは3D技術の進化のせいで目立ったというだけの話。

〈VR文化の歴史〉

 にこだわれば、少なくとも日本における〈VR元年〉は――独断を怖れずにいえば――、いまから十年前、

初音ミクご生誕〉

 の2007年ではないでしょうか? 

 実際、この声優のキャラクター・ボイスを元に生まれたボーカルアンドロイド(VOCALOID)はその後、ニコニコ動画の投稿を通じてキャラクターを進化させつつインターネット空間で育てられた、

〈バーチャル・アイドル〉

 として日本のVRC(仮想現実文化)を代表する「神ってる」存在になった。

 で、それについて何が言いたいのか? 

 ここからが我田引水ですが、仏教では現実と仏教の区別をもうけない。現実はすべて仮想現実とみなされる、とこれはこの「時事ネタと仏教」のコラムでも書いてきました。

 これはいいかえると、仏教は世界を初めから、

〈ホログラフィックなもの〉

 としてとらえて平然としてきたということです。そう、〈空〉なるものがつかのま創出した、ホログラム・ワールド。

 べつに〈仏教王国The kingdom of Buddhists〉日本をショーアップする気はありませんが、初音ミクはこうした国柄が生むべくして生み、育てるべくして育てたアイコンだという気がしてなりません。

 2020年の東京オリンピックの開会式後のアトラクションでは、いっそVRのキャラクターたちの集団のみを歌って踊らせ、世界中から集まった〈ナマ身の力〉自慢の「神ってる」ヒーローたちを唖然呆然とさせるのもテではないかと思うのですが、どうでしょうか?