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No.15【マインドフルネスのブームと仏教(1)】

時事ネタと仏教

 

マインドフルネスは米国で生まれた瞑想メソッドです。

 起源は一九六〇年代のニューエイジ運動でした。

 「自然との共生」などをスローガンに、欧米を中心に大流行した運動でしたが、ざっくりいえば、東洋や西洋のスピリチュアリズムにもとづいた、「近代西洋的な価値」への異議申し立てを試みた運動ですね。

 日本でもカリフォルニア発の「カウンターカルチャー」(〝ヒッピー文化〟)への関心のなかで輸入され、七〇年代から八〇年代にかけて大いにもてはやされました。

  で、そんなスピリチュアル好きの米国のヒッピーたちの心をとらえたのが、

 ヴィッパサナー瞑想

 です。これはスリランカや東南アジアなど南方仏教圏に伝わった瞑想法で、やがてうつ病などを対象とした心理療法に取り入れられて、専門家の間で用いられるようになっ。 

これが、マインドフルネス認知療法です。 

その目的はいわゆる「認知のゆがみ」(つまりネガティブ思考へのとらわれ)を瞑想を通して解消し、不安の改善を図るところにあります。

 この療法の開発をリードしたのが、その後マサチューセッツ大学の名誉教授になるジョン・ガバット・シンという先生。

 先生の邦訳本(『マインドフルネスストレス軽減法』)の出版をきっかけにこの米国生まれの療法が広く知られるようになった。

 二〇一三年には「日本マインドフルネス学会」もたちあげられ、現在ではブームも一巡、おなじみの名になっています。 

 米国ではストレス管理のために、グーグルやインテル、P&Gの社員研修プログラムにも使われ、日本のIT企業の間にも採用がふえて、いまではうつ病など「病気」の改善メソッドというより、「生活の質の向上」といったより一般的な形で受けとめられるようになりました。

 こう書いてくると、仏教にとって万事メデタシの話のように聞こえますが、あいにくそうでもないようです。

 ないどころか「摩擦係数」急上昇が実態です。

 それはどういうことか?