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No.25【ミニマリストと仏教】(2)

 

ミニマリスト」とは最小限の物だけで暮らすライフスタイルの追求者のことです。

そして、鎌倉仏教の〈ミニマリスト〉といえば、もう一人、「念仏踊り」で有名な一遍聖人の名を忘れるわけにはいきません。

 かれは法然の「念仏」の教えを引き継ぎながら「時宗」の宗祖となった人物です。

念仏を唱えながら輪になって踊りまくる一座を組んで全国を旅し、

〈踊る聖人(しょうにん)〉

と呼ばれました。 

これだけでも風変りですが、それ以上にユニークだったのは、一遍がなんと「信心」は不要だと主張した点です。

法然道元日蓮は、いくら簡単な「行」だけでよいとはいえ、救われるために「信心」が必要なことを当然の前提としていました。

 ところが、一遍は「南無阿弥陀仏」を唱えさえすればたとえ「信心」がない人でも、立派に救われると説いた。 

 こんなことを説いたお坊さんはどの国の仏教にもいません。

 じつにブッ飛んでいるというか、空前絶後

〈鎌倉ミニマリズム

の極限型をラディカルに体現した人物で、かれのもう一つのあだ名が、

〈捨聖〉(すてひじり)

だったのは偶然ではありません。 

 前回とりあげた『週刊新潮』の〈ミニマリスト〉をあつかった記事には、何もない空っぽの自室でTシャツを着てパソコンを打つ佐々木さんの写真がのっています。

佐々木さんは記事のなかで、外国人がシンプルきわまるその暮らしぶりをみて、「OH! ZEN(禅)」と言ったと語っていますが、わたしはむしろ写真の佐々木さんの姿に、〈web時代の捨聖〉を感じました。